そいつはぶすっとした顔で私にこう告げた。
「…………………・・Trick or Treat」
「は?」
「で?誰との賭けに負けたの?」
「アレッシオ。」
「まさか……ポーカーでもしたの?」
「…………」
沈黙ってことは肯定らしい。馬鹿なことをしたもんだ。
「あのねー、あの詐欺師にポーカーで勝とうなんてカルロには無理だって。多分ババ抜きでも勝てないわよ。」
「………ラウは勝てる。」
「……そりゃ…私は勝てるけど……カルロには無理だって。」
「…………」
「で?私にお菓子をせびるってのがその罰ゲーム?」
尋ねるとカルロはこくりと頷く。
多分これはすっごいマシなほうなんだろうなぁ……ってか何でこれ罰ゲームなの?絶対にお菓子あげないとか思われてるんだろうか……そこまでせこくないんだけど。
「…………ちなみに。一番酷い罰ゲームは?」
「女装して男をナンパ……。」
「ヴィーコ?」
「当然。」
「うわ……悲惨。まだ二コロだったら救いようもあったのに……そりゃオールしても無理でしょ。」
ヴィーコの女装姿を想像しただけで軽く気が遠くなりそうだ。
×××
「それじゃ…お菓子を上げないとねぇ」
ごそごそとポケットを探ってみるがお菓子らしきものは見当たらない。
ってかお菓子なんて持ち歩かないしなぁ。
「あ、じゃぁ食べかけでよかったら今舐めてる飴あげよーか?」
んべ、と舌の上に最初はもう少し大きかった飴を乗せて見せる。
「ラウ…………誘ってるのか?」
「………………捉え方は…お好きなように?」
微笑んだ瞬間にカルロの唇が私のに重なる。
そして2人して飴を舐めるかのように舌を絡め合う。
「ん……ぅ……ふ…ぁ……」
「っ……ぁ………」
ぴちゃくちゃと卑猥な音が部屋に響きわたる。
「ふぅ………ん……………ぁ……」
「カルロ………ほら………あげた……ん……だから…ちゃんと、舐め…………て」
飴ではなく私の舌ばかり追うカルロに軽くそういってやる。
しかし二人の舌の間で転がされた飴はもうビーズのような小ささになっており、どこにあるのかもよくわからない。
「ラウ…………あ…め。なくなったから……………」
「あぁ……じゃあお終い?」
「っ……!」
多分この先をしたいという意味で告げたであろう言葉を私は反対の意味で聞き返す。
そうするとカルロはぐっと押し黙ってしまった。
あー可愛いなぁ。
でもここで終わるっていうのはあんまりにもあんまりだから最後のチャンスをカルロに告げる。
「じゃぁ………さ。これ。」
そう言ってテーブルに置いてあった綺麗な紙に包まれ、手のひらに収まるような小さなチョコを取る。
そうしてまるでコインを投げるかのようにピンっとチョコを宙に弾く
そしてわからぬようにどちらかの手にそれを入れる。
と、いってもカルロの反射神経のよさならどっちの手にチョコが入っているかなんてわかっているんだろうけど
「さて、チョコはどっち?」
わかっているんでしょ?
という目でカルロに問う。
「……」
「当てたらTreatってことでカルロは無事お菓子をゲットできる。でも当てなかったら……私……Trick………されちゃうね?」
「………………」
クスっと笑いかけ、再度カルロに問う。
「さぁ…………Trick or Treat?」
×××
今考えてる新しい小説の主人公sです!
多分私だけが楽しいSSですいません!!
そのうち本編も描きますんで……すいません。