「恋の一雫」の番外編です。
番外編っていうか・・・・・・未来編?
違うのは菫くんと雫ちゃんがもう恋人同士っていう設定なだけです。
そこんとこ注意してください!!
「トリック・オア・トリート?」
「へ?」
10月31日。
今日最初の会話だった。
「いや、だからトリック・オア・トリートだってば。」
「え?・……あ・あぁ…ハロウィン??」
「それ以外じゃ使わないでしょ。こんな理不尽な言葉。」
「り・理不尽??」
「いや、だってさ……要するにこれってお菓子くれなきゃ悪戯するぞってことでしょ?そんな自分勝手なって感じしない?」
「そ・そういわれてみれば………」
「あ―――――……でも、桜あたりなら普通に言いそうだ。」
「??」
×××
「で?お菓子、くれないの?」
「え?えぇ!?い……いまは・…持ち合わせが…ないんだけど」
まるでカツアゲされた子がいうようなセリフを雫は言う。
「じゃあ……悪戯だよね?」
にーっこり暗い笑みを浮かべて菫は笑った。
「えぅ……そ・そういうルールなら……しょうがない…よね。じゃ・じゃぁ……お手柔らかにお願いします!!」
そういって雫はぎゅっと目を瞑って菫に顔を差し出す。
「……え?」
焦ったのは菫である。
当然そういう意味で言ったので強ち雫の行動は自分の理にかなっているのではあるが、そういう方面ではからっきし鈍い雫をいつも通りからかって……という予定だったため、いざ準備万端で来られるというのも……
でも…まぁ……末残食わぬは男の恥……とか流風さんも言ってたしな。
などと考えながらそっと雫の肩に手を添える。
「…………っ」
いつまでたっても初々しい反応を返してくれるなぁ……
そして頭を屈めあと数㎝で唇が触れあう………
「あ、菫くんっ!油性じゃなくて水性でお願いね!!」
「…………………は?」
「明日…一応学校あるし…だから油性じゃ落ちないから困るんだけど……」
「え…っと………」
「あ……でもでも、めちゃくちゃ頑張ってこすったら落ちるかもしれない……かな。」
「あの…………雫?」
「え…?」
「さっきから何の話してるの?」
×××
話をまとめるとこうである。
学校で夕姫が凪に同じようにハロウィン恒例のセリフを言って、お菓子を持っていなかった凪に対してマジックで顔に落書きされていたらしい。
それを見ていた雫は
イタズラ=顔に落書き
と思いこんでいたらしい。
「…………はぁ。」
こうなりゃもうムードもなにもあったもんじゃない。
とばかりに菫は溜息をついた
「雫ってさぁ………ホントに馬鹿だよね」
「え?えぇ??」
何がなんだかわかっていない雫は少し半泣きになりながら何で?何で??と菫のまわりをちょろちょろとしている。
そんな雫を腕の中に抱きこんでみる。
「へ?………あ・あの・………す・すみれくん??」
「………………」
「あ・あの………」
「ばーかばーか。」
「!?」
(まぁ……そこが可愛いんだけど。)
と思っているのは雫には内緒だ
◆◆◆
恋の一雫でハロウィンでした。
番外編ってことで恋人同士になった2人でお送りしましたー。
いや、だって本編だったらまだ2人知り合い程度なんだもんよ。