「…………はぅ。」
先日、運命の相手を見つけると張り切っていた雫だか、あのときの勢いはどこに行ったのか?と問いたくなるほどに落ち込んでいた。
「ど、どーしたの??しーちゃん!?」
「・・・・・・ゆーきちゃん・・・・・・ぅ・・・ふ・・・ぇぇぇぇ・・・」
雫は夕姫の姿を見たとたんに情けない声を出した。
「し・しーちゃん??」
「うぅーー・・・・・・」
「ちょ・しーちゃん・・・泣かないでよぉ・・・・・・」
夕姫もどうしたらいいのかわからなくなったらしく、釣られるように情けない声を出す。
「・・・・・・・・・・お前ら・・・なにしてんの?」
「なっちゃん・・・・・・助けてぇ・・・」
「夕姫・・・何泣きそうな声してんだよ。ってか神館、なに沈んでんの?」
「うぅ・・・・・・」
とりあえずは凪が二人を落ちつけて、原因である雫の話を聞くことにした。
「あの・・・あのね・・・・・・昨日・・・ね。例の公園に行ってきたんだけどね。」
「公園?あ・・・あぁ、例の運命の相手を見つけるとか言ってたあれか。」
「うん。」
「見つからなかったの??」
「それでへこんでたのか?ってか一回や二回じゃ見つからねーって!そういうのは根気強くだなー」
「そうだよ!しーちゃん!!何事も諦めないことが大事だよ!!」
「あ、ち・違うの!!見つかった…の。」
「「は?」」
「だから・・・その・・・昨日見つけた・・・んだけど・・・・・・す・・・すっごく綺麗な女の人と歩いてて・・・その・・・・」
その時の状況を思い出したのか雫はまた涙目になる。
「ほんと・・・に・・・すっごく綺麗な人で・・・あ・あんな人相手じゃ・・・敵わないよぉ・・・」
今度は本気で泣きだしそうな雫を見て夕姫は焦ってフォローの言葉を出す。
「や・・・で・でもっ!!その人お友達かもしれないでしょ??別に恋人って決まったわけじゃ・・・」
「だって!!その女の人抱きついてたんだもん!!運命の人も別に厭がってなかったし・・・・・・うぅ・・・」
「あ・・・で・でもぉ・・・スキンシップ過剰な人なのかもしれないよ!!私だってなっちゃんとかに抱きつくし!!」
「な!?ゆ・夕姫!!何言って!!」
「それならあの人たちも夕姫ちゃんと海原くんみたいに仲良しってことじゃない!!やっぱり勝ち目ないよぉ・・・」
「や・・・俺たちは別に・・・」
「で・でも!私となっちゃんだって友達だしっ!!仲いいけど友達だし!恋人じゃないもん!!きっとその人たちも恋人じゃないよ!だったら雫ちゃんにだってまだチャンスは・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「で・でもぉ・・・・・・」
天然の悪気のない言葉ってのはここまで胸を抉るのか・・・と凪は一人静かに考えていた。
そんなこんなの堂々巡りの会話をしばらく続けていた二人に対して凪がおもむろに口を挟む。
「神館・・・・・・うざい。」
「え・・・?」
「さっきからうじうじうじうじ・・・ネガティブなことばっか考えやがって!相手に恋人がいるかどうかなんてなぁ、直接聞いてみねーとわかんねーだろーが!もし恋人いたとしたら諦められんのか?ならさっさと諦めろ。その女押しのけて振り向かすくらいの度胸がねーんなら一目惚れなんてするな!!」
半ばやけくそな感じで凪が言う。
少しの八当たりも入ってるが・・・・・・
「・・・・・・・・・」
雫は黙ったままうつむいてしまった。
その雫の手を取って夕姫が話し出す。
「あのね・・・なっちゃん言い方はキツイけどしーちゃんのこと心配して言ってるんだよ?それに・・・なっちゃんの言うこともあると思うの。ちゃんと確かめないとわかんないよ?今日3人でその公園行ってみて、ちゃんと確かめよう?」
「夕姫ちゃん・・・・・・うん。」
「え・・・俺は別にいかな・・・」
「よし!!じゃあ今日の放課後は公園に突撃だぁ!!」
「おー!!」
「・・・・・・聞けよ。」
×××
「・・・・・・で?」
「え?」
「かれころ一時間近く待ってるわけなんだが・・・そいつって何時くらいにここ通るんだ?」
「あ・・・その、よくわからない。まだ見かけたの2回だけだし。その2回も時間帯違ったし。」
「ふーん。」
「あ・・・あの・・・」
「ん?」
「ご・ごめんね・・・つき合わせちゃって・・・」
「あ?あぁ・・・別に・・・ってか・・・俺こそごめん、さっきはキツく言ったりして。ちょっと・・・何というか・・・心のコントロールが出来なくて・・・」
「??」
「いや、忘れて。でも!!間違ったことは言ってねーからな!!試合と一緒でな、最後まで諦めたらダメなんだからな!!」
「う・・・うん!」
「おまたせ~」
そう言って夕姫がジュースを三本抱えて帰ってくる。
「本当は買い食い禁止なんだけどね~」
「飲んでるんだからOKじゃね?」
「ありがとう夕姫ち・・・・・・・・・あぁ!!」
ジュースを受け取ったとたんに雫が立ちあがり声を上げる。
「え??これ飲めなかった??」
「ち・ちがっ・・・・・・あそこ!!あの植木の向こう!!あの人が!!」
「「!?」」
がばっと二人は雫が示した方向に目を向ける。
「「・・・・・・・・・・・・!?」」
そして2人は同時に言葉を失い、目を合わせた。
そこには雫の言う運命の人であろう男と、その隣に1人の女性が歩いていた。
「ゆ・・・夢姉・・・??」
その女性の名を二人は呟く。
×××
はい。やっとこさ2話です。
遅れてすいません。ちゃんと今日中にupしたよ、トオルさん!!
しかし中途半端なとこで終わらせてすいません。。。
出来るだけ早く続きを書きたいと思います。