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「 『バレンタイン 前日』 」
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世間はチョコチョコチョコ一色なバレンタイン……

これは……私も龍牙にチョコを渡すべきなんだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 


「だーれだっ!」

そんな考えを悶々と繰り返していた時、いきなり視界が真っ暗になる。

「……ぇ…ちょ……なっ!?」

思わずびっくりして思いっきり後ろにいるであろう人物に肘を出す。

世間一般でいうと肘鉄だ。

完璧に入ったと思ったんだけど……難なくポスっと受け止められてしまった…

「のんのん、夢さん。ちゃんと質問に答えてよー。」

私の目を手で覆ったまま後ろの人物は呑気な声を出す。


「本当にわからない?夢さん??」

今度は前から声がする……どうやら2人いるらしい……

……というか……

「……桜くんと…菫くん?」

「はい。大正解~!」

そう言って手をパッと放すと目の前には笑顔な双子くんが立っていた。

「あ…こんにちは。ご・ごめんね…桜くんたちだと思わなかったから……つい。」

「いえいえ。まぁ当たりませんでしたし。さすがに当たったらちょっと痛そうだったから受け止めさせてもらいました。」

「……すいません。」

 

 

 

「別に桜ならくらっても平気だろ……」

「もしかしたらびっくりして目隠しはずれちゃうかもしれないでしょ!」

「あ…そぅ。」

 

 

「あの…今日はどうしたの?」

2人が私を訪ねてくるなんて珍しい…

いや、別に珍しくないんだけど…私単品のときに来るのが珍しいというか…

どうやら2人は龍牙のことが気に入ってるらしく龍牙と2人でいる時はよく姿を見せて龍牙をカラかって帰っていく。といったパターンが多い。


「今日は夢さんに聞きたいことがあったんですよー。」

「??聞きたいこと?」

「そう。この前みんなで新年会という名の飲み会したの覚えてますか?」

「……あぁ。」

そういえばしたね、そんなこと。

といっても私はジュースを飲んでからの記憶がほとんど…ってか全くないんですが……

後で聞いたんだけど、あれはお酒だったらしい……

どうも私は父譲りでお酒に弱いらしく、飲んだ後の記憶が全くないのよね……

 

「で、ですね。夢さんが酔った姿は見れたんですけど」

「え!?やっぱり私酔ってたの!?」

「そりゃ…もう。」

「桜もだろ」

「まーそうですけども。」

「で、考えてみたら流風さんが酔ってるの見たことないなーって思ったんですよ。」

「そうそう。だから酔ったらどうなるのか教えてくれません?」

 

「え………」

 

そ・そういえば……私も龍牙が酔ったとこみたことないかも……

 

「あいつは酒強ぇーぞー」


「っ!?」


いきなりの声に驚く。

「じゅ……准くん…?」

「よっ!」

いつ来たのか私の横にいる准くんが普通に会話に参加してきた。

「「こんにちはー。」」

2人はいつから気付いてたのか普通に挨拶をする……

心臓に悪い……

 


「流風さんってそんなお酒強いんですか?」

「あぁ。俺らも何回か飲みあったことあるけど…あいつだけは潰れたことないんだよなぁ。」

「へぇ~。」

「何でも兄貴に鍛えられたとかで全然酔わないんだよなぁ。結構な量飲んでんのにさぁ。」


「……というか、普通にこんな話してるけど、未成年はお酒のんじゃダメなんだからね!!」

「俺達の世界じゃもう成人してるんで。」

「ぇ…そ・そうなんだ……じゃ・じゃあいい……のかな?」

「俺も精神的には成人してるんで。」

「准くんはダメでしょ!!」

「まぁ……それはこっちに置いといて。なんでお前ら、んなこと聞くんだ?」

「んー?別に理由はないですよ。ただの興味心。ねー?」

「なー?」

そう言って双子くんたちは顔を見合わせる。

本当に仲いいなーこの2人。2人を見てるとよく弟に会いたくなってくるんだよね……


「こんなこともあろうかと!!じゃーん!!」

そう言って桜くんは液体の入った瓶を取り出した。

「なにソレ?」

「スピリタス、etcです。」

菫くんがぴしゃりと私の質問に答えてくれた。

しかし…もともとお酒に興味なんてない私がそんなことを言われてもわかる筈がない。それにエトセトラって……


「お前ら……スピリタスって…んな強い酒…」

准くんは分かっているらしく呆れたような顔をしている。

「スピリタスってそんなに強いお酒なの?」

「まー……世界一って言われてるからなぁ…なんせ度数96%だぜ?ほとんどアルコールだよ。」

「きゅ…きゅうじゅうろく……」

ビールでも数%なのに……


「そうそう。俺達も飲んだことないんですけどね。父さんと母さんが晩酌してるときに飲んでたから。」

「しかも他の強い酒とちゃんぽんになってたから……相当きついと思いますよ?」

なるほど……だからetc.なんだ……って納得してる場合じゃなくて。


「それ……飲ますの?」

さすがにかわいそうな気がするんだけど……

「まぁ…俺達も鬼じゃないんで……幸せな思いをしながら酔ってもらおうかなと思いまして。」

「??」

「もうすぐバレンタインですよね?夢さん!これ使ってチョコつくってくれません?」

「え゛……!?」

「それなら流風さんも夢さんからチョコ貰えて心残すことはないでしょう?」

「あ……いや……」


それ…私に被害が来るんじゃないだろうか……


「ねー夢さんおねがい!」

「ぅ……で・でもさ!チョコに入れるくらいの微量なら酔わないんじゃない?」

「あーその辺は大丈夫。母さんたちに少しの量でも酔えるちゃんぽん造ってもらいましたから。」

「え……そんなこと…でき」

「夢さん。深く考えちゃダメですよ。ある意味ここはパラレルワールドなんですから。そういうとこ突っ込んじゃダメです。」

「……そうだね。」

「じゃ、お願いしますねー!」

ポンと瓶を渡して双子は帰っていった。


「え…私まだ…作るとは……」


私の声が届くことはなかった………

 

ど・どうしよう………

 

 

 

×××
はい。バレンタイン話の前振りです(長い前振りとか突っ込んじゃ嫌です)
スピリタスは本当に強いお酒だそうですよ!当然飲んだことないけど!!
そしてチョコに入れる量で酔うとは思えないんですが……まぁそこは(も)見逃してください。
次回!酔った龍牙が夢を!?乞うご期待です!!


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