夢「はい。龍牙!今日は何月でしょう?」
龍「は?なんだよいきなり??」
夢「いいから!!今日は何月でしょう?」
龍「……5月…だろ?」
夢「そうねー。しかも5月の最終日よねー?」
龍「??」
夢「龍牙……この大バカものー!!!」スパコーン(必殺・辞書投げ)
龍「っってぇぇ!!!」
夢「あんた!!聞いた話によると浅葱さんとこの4月誕生日の人におめでとう言ってないそうじゃない!!日頃お世話になってるのに……!!」
龍「は……ぇ…?いや、……別にそこまで世話になってな…」
夢「つべこべ言わない!!」スコーン(必s(略)
龍「~~~~っ……」悶絶
夢「しょうがないから私が付き合ってあげる。さぁさっさと行くよ!」
×××
夢「……と、いうわけで。おめでと桜くん菫くん!」
龍「最初からこいつらかよ……」
夢「ほら、なにごちゃごちゃ言ってんのよ!!ちゃんとおめでとう言いなさいよ。」
龍「……おめでとう。」
菫「はぁ……どうも。」
桜「………」
菫「…というか俺たちの誕生日先月だったんですけどね?」
夢「うん。そうなんだけどね……ごめんね遅れて。。龍牙ってほら……ちょっとアレだからさ。常識なくて……ごめんね?」
菫「はぁ…まぁいいですけどね。」
桜「……よくない!!」
龍「は?」
菫「よくないよ!!菫チャン!!全然よくない!!」
龍「??なに?お前そんなに俺に祝われたかったのか?」
桜「んなわけねーだろが?寝言は寝て言え。」氷点下
龍「っ……じゃあ別にいいだろが!!何が不満なんだよ!!」
桜「流風さん?俺言ったよね?」
龍「……何を……だよ?」
桜「俺達は別にいいけど……母さんだけはお祝してって……言ったよね?」
龍「ちょ……顔怖い恐い……ってかそんなこと言われた覚えn」
桜「言ったよね?」
龍「………」ぞくっ
夢「なんか…ごめんね。桜くんあんなに怒ってるし…」
菫「あぁ…別にいいですよ。桜の流風さんいじりは……まぁ…趣味みたいなもんだから。」
夢「そ…そう?」
菫「そうそう。だから夢さんは気にしないでいいよ?」
桜「そうそう。夢さんには怒ってないからねー?」
菫「もういいのか?」
桜「うんー^^すっきりした!」
菫「流風さんは……沈んでるな。」
桜「まぁそのうち起きるでしょ。ちゃんと出加減したし。それより夢さん?」
夢「ん?」
桜「今回は俺たちの誕生日祝いで来てくれたんだよね?」
夢「うん。」
桜「じゃあ……プレゼント…貰える?」
夢「ぇっ!?あ・……ご・ごめっ……今日は何も持ってきてな……こ・今度お菓子でも作ってくr」
桜「いえいえ、別に大丈夫ですよー。夢さんがいたら貰えるものだから♪」
夢「……なに?」
桜「それはー」
夢「ちょ…ちょっと待って!!な・何でそんな近づいてくんのっ!?ち・近いよ!桜くん!!近い近い!!前にもこんなこと言った気がするけど…近い!!」
桜「そういや前にもこうやったね、もしかしてもうマンネリ?飽きちゃった??違う刺激求める?」
夢「や…あの……言ってる意味が…よくわからな」
桜「ねぇ……夢さんって…ウブで……甘そうだよねー」
夢「はぇ…っ!?」
桜「こんくらいで真っ赤になっちゃってさー……ねー?」べろり
夢「~~~っ!?!?」
桜「うーん…やっぱ味はしないよね。」
夢「いいいいいいい・いまっ!!み・っ耳・・…な・舐めっ!?!?」
桜「うん。これくらいスキンシップでしょ?」
夢「ななななん・…っ」
桜「夢さん。どもり過ぎ。」
夢「~~~~~っっっ」
桜「こんな新鮮な反応も久し振りだな~。ね?もうちょっと味見してもいい?」
夢「ちょ…・・・ まっ……!!!!」
菫「桜。そのくらいにしときなよ。」
桜「何菫チャン?ヤキモチ?なんなら混ざる?」
夢「!?!?」
菫「はぁ?」
桜「俺は別にいいよ?」
夢「だ・だめ!!ダメダメダメ!!!そ・そんなことしたら雫ちゃんに言っちゃうからね!!」
桜「………」ぴくっ
菫「ちょ・夢さんっ!!」
桜「だーれかなぁ~そのシズクチャンってのはぁ?」
菫「いやぁ……別に…」
桜「菫チャン?」
菫「だから……別に………」
桜「……」
菫「………」
桜「…………」
菫「……………」
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
夢「な…なんとか逃げれたっ!!」
龍「いてぇ……後頭部が……」
夢「ああああんたなんか気絶してただけのくせに!!あの空気にいなかったくせに!!」
龍「はぁ?何言ってんだよ??………ってかお前……」
夢「なによ!!」
龍「いや…別に…気のせいだと思うけど…」
夢「だから何がよ!?」
龍「その耳の後ろのソレ……」
夢「耳…?」
龍「もしかして……キスマークじゃ…」
夢「は?何言ってんのよ・…・…んなもん誰がつけ………」
龍「夢?」
夢「………///っ」あの時かぁぁぁぁ
龍「身に覚え……あんのか?」
夢「いや…これは不可抗力で…別に深い意味はないし!!」
龍「深い意味がなきゃキスマークなんてつかない。」
夢「ぐっ……」
龍「………」
夢「……そ…そもそも…あんたが気絶なんかしてるから…ちゃんとそばにいなかったくせに……」
龍「…夢。」
夢「私だって・…好きであんなことされたわけじゃないもん……」
龍「……ごめん。まぁ…それなら俺の責任でもあるわけだ……なら俺が消毒してやるよ。」
夢「は?」
龍「こういうのは早期治療が一番…なんだぜ?」
夢「そ・そんな話聞いたことない!!」
龍「まぁまぁ。遠慮すんなって。な?」
夢「わわわ…ちょっと……」
龍「逃げんなって……桜はよくて…俺はダメなわけ?」
夢「そ・そういう話じゃない…でしょ!!」
龍「そういう話だっての。」れろー
夢「っ!!」
龍「触られたの…ここだけだろな?」
夢「ちょ…耳元で話さないでっ…」びくっ
龍「答えろよ…」
夢「っっ……」
緋月(以下「月」)「おーおー少年。いちゃいちゃ結構だけどTPOは考えないとな~」
緋粋(以下「粋」)「緋月……ここは見て見ぬふりするものでしょう。」
夢「っい!?!?」
ドンっ!!ごすっ!!ばきっ!!!!!
龍「っ・…っ!!!」
月「おー…いいボディブローからのアッパーだ!!」
夢「ひひ…緋ぃ姉ぇ!?」
粋「すいません。邪魔しちゃって……」
夢「じゃ・邪魔ってなにが っ!?何もしてないよ!!何もしてないことにしといて!!今のは忘れて!!」
粋「はぁ……」
龍「……ごほ。」(今日こんなのばっか……)
月「少年少年。さっきも言ったけどTPOはちゃんとしないとダメだぞ?レディーってのは繊細な生き物なんだからな?」
龍「げっほ…っげほげほ……」
月「ちゃんと聞いてるか?」
龍「は・…はぁ……ってか誰?」
月「何言ってるんだ少年!!夏に森で会ったじゃないか!」
龍「………?」
月「あんなに激しい夜を忘れたのかい?」
すっと龍牙の頬を緋月が指でなぞる。
龍「っ………!」
月「なぁ?」
龍「あ・・…もしかして……あの時の……」
月「思い出してくれたようで嬉しいよ。」
夢「…………」
粋「夢…さん?」
夢「何?緋ぃ姉?」にーっこり
粋「あの……今のは多分深い意味なんてないとおも」
夢「なんのこと?別にいいのよ。緋ぃ姉。私にはまーったく関係のないことだから」にこにこにこ
粋「………」汗
夢「それより…ちょうどよかった!今から緋ぃ姉のとこに行こうと思ってたのよ。」
粋「私の?それはまた…どうして?」
夢「えーっとね……」カクカクシカジカ
粋「なるほど。それはわざわざ……ありがとうございます。」
夢「いえいえー。って私じゃなくて龍牙に言わせないといけないんだけどね……あそこで美人さんに相手してもらって嬉しそうだから……ほっておく。」
粋「………いや、あれは…」
夢「ところで緋ぃ姉。緋月さんってどこにいるの?」
粋「へ?」
夢「いや、渡されたリストに緋月さんって人も入ってるんだけど……私会ったことないから。」
粋「は・はぁ……」もう会ってるんですけど…
夢「どんな人?」
粋「え・えーっと……緋月っていうのは…私が兄みたいに慕ってる・・・(?)人で……」
夢「へぇ~」
粋「……というか……あそこで流風さんの相手してるのがそうなんですけど」
夢「……は?」
粋「だから…あれが夢さんが言ってる緋月です。」
夢「緋ぃ姉…さすがにそんな嘘には引っかからないよ~。さっきお兄さんみたい慕ってるって言ったじゃん!でもあの人女の人だもん!」
月「それが実は違うんだなー。なんから確認してみる?上でも下でも。」
夢「っ!?!?」
龍「やめてください!!」
粋「そうですよ。年頃のお嬢さんにそんなこと言って。立派なセクハラですよ。」
月「すーは厳しいなー。そこのお嬢さんは俺に何か用事?」
夢「ほ……ホントに…?」
月「ん?」
夢「ホントに男…の方ですか?そ・そんなに綺麗なのに!?」
月「そりゃありがとう~」
夢「よ・世の中って広い……」
龍(大袈裟な…)
月「で?俺を探してた理由は?」
夢「あ……そうだ!!えーっとお誕生日おめでとうございます!!」
月「ん??確かに誕生日は来たけど……一か月前だったような……」
夢「えっと……」
(事情説明中。)
月「それはそれは。わざわざどうも。ただしこれからは期間を守るようになー」
粋「なんで上から目線なんですか。」
月「年長者の特権ってやつだよ。」
×××
夢「な・なんとか全員回った!!」
龍「なんか……疲れた。」
夢「わ・私も……いろいろありすぎて……」
龍「いいとこで邪魔されたしなー」
夢「………」
龍「無言で睨むなよ。いいじゃん。別に最中見られたわけじゃねーんだし。」
夢「………今後…私に触らないで。」
龍「なっ!!なんでだよ!!!???」
×××
はい。とりあえずこれだけは言わせてください。
すいませんっしたー!!orz(スライディング土下座)
本当は一か月前に載せるつもりだったんですけどね……どこでどう間違ってこんなに時間が過ぎたのか…
とりあえず緋月さんのキャラが全く掴めてませんので…どこかおかしいとこがあったらすいません。
「で?何あげるの?」
いきなり学校帰り俺の前に現れた双子はそう言い放った。今度こいつらに主語と述語について教えてやろう……
「あれ?お前らまた来てんの?」
そう言って准平は俺の後ろから声をかけた。
「こんにちは。またって言い方酷いなぁ~」
「だってしょちゅう来てんじゃん。」
「いや~……流風さんで遊ぶのが楽しいからつい……ね。」
「あー…それはわかるわかる。龍で遊ぶのは楽しいからなぁ」
「ねー。」
今こいつら…俺でって言いやがったな……せめて俺とにしろよ!!!
「で?流風さんは夢さんに何をあげるんですか?」
「なにが?」
「だって今日3月14日ですよ?」
「だからさっきからなにがだよ!?お前らといい准平といい!!」
「あー無駄無駄。俺もさっきおんなじことコイツに聞いたけど…こいつホワイトデー知らねーんだよ。『直訳すると白い日だろ?白いって雪のことか??今日は雪振ってねーぞ??』という返答をしたぐらいだ。」
「えーー!?本当に!?」
「そういやバレンタインのときもよくわかってなさそうな顔してたよね。」
「教えようとしたら夢さんに止められちゃったしね。」
「でも、あの日は珍しいものが見れたよね~」
「へたれてない流風さんとか、流風さんたちのラブシーンとか。」
「まぁ別に見たかったわけじゃないけどね。」
別に俺だって見せたかったわけじゃねーよ。あの後夢の機嫌を直すのにどれだけ時間がかかったか……
いいじゃねーか別に…あれくらい人に見られたって!!
と言ったらますます口を聞いてくれなくなったわけだが……
「で?そのホワイトデーってなんだよ?」
とりあえずその意味のわからない単語を理解することを最優先させよう。
「んーーー…まぁ平たく言うと前に秋原からチョコ貰っただろ?あれのお返しをする日だな。」
「お返しをする日?」
「まぁそんなもんだ。」
准平……説明するのがメンドイんだな……
「そうか……じゃあ俺も夢に何かお返ししなねーといけねーのか。」
「まぁそういうことだな。」
「准平は彼女に何か返したのか?」
「ん?まぁな。マシュマロとクッキーとキャンディを。」
「なんだ?その組み合わせ……」
「この3つがホワイトデーの定番なんだよ。で、確かどのお返しをするかで返事が決まってたらしいんだけど……誰に聞いてもバラバラだから全部買った。」
「なんだそれ。」
「全部買ってりゃどれかは当たってんだろ。」
「いい加減な……」
「まだ何も買ってねーお前に言われたくねーよ。」
「そうだよなぁ……うーん何にするかな……桜、菫、お前らは何か返したのか?」
「返したよ~。俺たちはねお花。」
「花?」
「そうそう。毎年恒例なんだよね~」
花…か。
こいつらにしたらまたマトモなもんが出てきたな。
「残るものって捨てれないし。それならその時綺麗な花を贈るの。」
「ふーん。」
「流風さんも花にしたら?」
「はなぁ?」
「そうそう。バラとか。」
「はぁ?」
「バラの花束100本とかさぁ~似合うと思うよ!きっと!!」
「あー……口にバラ加えてもいいと思うよ!!」
「それ……全然褒めてねーよな……?」
「褒めてる褒めてる。そんな馬鹿っぽいの似合うなんて一種の才能だよ!!」
「褒めてねーよ!!」
俺はどうせなら…残るもんのほうがいいんだよなぁ……
ただでさえ海原とかとの思い出の品が俺より多いんだから……こういうときに残せるもん残しとかないと……
「指輪…とかじゃダメなのか?」
「え?」
「いや、女って好きだろ?そういうの?」
「まぁ…そうかもしれないけど……」
ホワイトデーの意味すらしらなかったくせに…普通いきなり指輪贈ろうとするか?
相変わらず変なとこで常識ないんだよな…龍は。
「指輪とかは……もっと違う記念日にしたらいいんじゃないか?」
「なんで?」
「なんとなく。」
「じゃあ何渡せばいいんだよ!!他に思いつかねえ!!」
「えーー…うーーん。……もうその辺の店で適当なの買えよ。。あっ!これでいいじゃん。」
そう言って近くの菓子屋に出ていたものをつかむ。
「なにこれ…?『まどもあぜるきゃんでい』?」
「こういう無難なのにしとけって。」
「えーそれじゃあおもしろくないよ!!やっぱバラがいいって!!」
「夜景の見える丘の上で渡してきなって!!」
「なんのドラマだよそれ!!」
×××
あー…いろいろ詰め込もうとして出来なかった結果な作品です。
一応ホワイトデーの話なはずなんですけどね。
龍は何返したんでしょうね。とりあえずみんなの意見足して『まどもあぜるきゃんでい』にバラつけて送ったらいいんじゃね?(ぉい)
ちなみに『まどもあぜるきゃんでい』は本当にあるんですよ!旅行先で見つけました。
背後注意!!
…というほどのもんじゃないですが、ちゅーとかしとります。
……と。いうわけで……好奇心に負けて作ってしまったわけなんですが……
しかし…貰ったお酒(?)は相当きつかったらしく…作ってる最中に何度か意識飛びかけたんですが……
そんな思いまでして作る自分もどうかと思うけど……
いや、だって……みんながあれだけ言うから……酔ったアイツを見てみたくなるのが人間の性ってやつでしょ?
それに……ほら。好きな人のことはどんなことでも知っておきたいでしょ?
…………何考えてんだ私。
自分にこんな乙女思考があったとは……
「ってことで……はい。」
「は?」
そう言って龍牙にチョコを渡す。可愛げも何もあったもんじゃない。
どうしてこう…素直になれないのか…自分の性格を恨みたくなる。。。
「何だこれ?」
知ってか知らずか龍牙はそんなセリフを発する。
「………今日。バレンタイン…でしょ。だから……一応……ね。」
は・恥ずかしい!!
世の中のカップルはこんな恥ずかしいイベントをしているのか!!
こ・こんなお菓子会社の陰謀なイベントでどうしてここまで恥ずかしい思いをしなくちゃいけないのよ!!!!
「??」
龍牙は一応チョコを受け取ったものの、なんだかよくわからない表情をしている。
「……で?これ何?」
こ・こ・こ・こいつ!!何言ってんのよ!!
まさかそのチョコの意味まで言えと!?これ以上私に羞恥プレイをしろというのか!!!
「な・なにって……だからバレンタイン…だって…ば。」
もう恥ずかしくて死にそうだ……
「ば……ばれん……たいん?」
ちょいんちょいんと龍牙は頭の上にクエスチョンマークを飛ばす…
も…もしかして……
「バ…バレンタイン…し…知らない……の?」
「だから…さっきからなんのこと言ってんだよ?」
こ…この常識しらずがぁぁぁぁ!!
ってか世間様がここまで騒いでるのに気付かないってどんな神経してんのよ!!
それに……
「あ・あんた……今日いろんな人からたくさんチョコもらってたでしょ!?」
「んー?そういや今日はやけに他の女からプレゼント渡されたな……あれチョコだったのか?」
「な……何で…中身…見てないの?」
「いや、そういうのもう貰わねーようにしてるしな。そういや靴箱にも何個か入ってたなー。そのままにしてきたけど。」
靴箱……なんてベタな…まだそんなことする人いたんだね。
「バレンタインっていうのはねー」
そしてまたもやどこから来たのか双子と准くんが龍牙にこそっと耳打ちしようとする。
「あ……、わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「え?」
「い・いい!!教えなくていい!!!」
「??」
お・教えたら……さっきの意味がわかっちゃうじゃない!!わからないんならわからないままでいい!!絶対そのほうがいい!!
「さっきからなんなんだよ…お前ら…」
「い・いいから!!アンタは大人しくそのチョコを受け取っておけばいいの!!」
「??」
龍牙は相変わらず今の状況がつかめてないみたいだが、とりあえずチョコを受け取って
「まぁ…よくわかんねーけど……サンキューな。」
と言ってくれた。
わ・渡せたっ!!よかった……
前々から思っていたけど…私ってつくづくこういう行事に向いてないな……
「じゃあ流風さん!ここで食べてください!」
「そうそうっ!早く食べて食べて!!」
「ちょ…なんでお前らが急かすんだよ!!」
「だって早くみたいし。」
「まぁ…好奇心には勝てないお年頃だしね。」
「……意味わかんねーんだけど……」
確かに……
しかし…今更だけど、本当にこんなので効くんだろうか……
いや、でも緋ぃ姉たちのお墨付きの酒だっていうのを考える侮れない気がする……
「龍ー、秋原がお前の食べるとこみたいってさ。」
龍牙と桜くんたちの言い合いを静かに見ていた准くんがいきなり言う。
そんなこと口走った覚えはないんですけどね…
「え…?」
「お前、バッカだなー。女ってのは食べ物をあげるってことは、その感想を言ってほしいもんなんだよ。秋原だってお前が食べるのを待ってんだから早く食べろよ。」
「ちょっと……准くん…」
「まぁまぁ。このままじゃいつまでたっても埒があかねーだろ?」
「う……でも…そんなことくらいで食べる馬鹿なんて」
「そうか!なら食べるぜ!!」
ここにいたよ。
言うが早いか龍牙はラッピングを外して中のチョコを1つ摘まんで食べた。
ちなみに中のチョコはトリュフ風にしてみました。
いや…王道に則って大きなハートチョコも考えはしたんだけど、思考の中で即却下だったんで…
「っ……ゆ・ゆめ……こ・これ……酒が…」
「あー……うん。隠し味にちょっとお酒入れたんだけど……気づいた?」
効かないんじゃないかと思ったが、ちゃんと効果があるらしい。
龍牙は少し振らつきながら近くのイスに手をかけた。
顔が赤い……ってか妙に色っぽい……
これだから無駄に顔のいい男ってのは……女の自信を奪わせる存在だ。
「あーーーわりぃ。これくらいの量じゃ酔うはずないんだけど……ちゃんと全部食べるからな。」
「い・いいよ。無理しなくても!!」
チョコに入れれるくらいの微量だから大丈夫だと思っていたけど……龍牙を見る限り相当きつそうだ……
「いい。食う!!」
ほとんど自棄になってるんじゃないだろうか……
×××
龍牙は宣言通りにあげたチョコを全て食べつくした。
そして今机に突っ伏してるわけだが……
「なにー?もしかして流風さん寝ちゃう派?」
「おもしろくない。ヒゲでも書いちゃおうか?」
双子たちはぷーっと頬を膨らませてペンを用意する。
「ふーん。意外だな。」
そう准くんがボソリと呟いた。
「??何が?」
「いやー、龍牙の兄ちゃんがさ、男たるもの飲んでも飲まれるな!は常識だけどもしどうしようもなく酔っちまった時のために流も鍛えてあるっつてたからさ。どんな風になるのかと思ってたんだけど…」
「普通に寝てるわね。」
「だな。」
というか…どんな風に鍛えたんだ、それは。
「こんにちはー。」
そんなことをしていると後ろから声がかかる。
声のほうへ振り向くと緋ぃ姉と茉珱兄が立っていた。
「こんにちは。2人でどうしたの?桜くんたちのお迎え?」
「いえいえ。もう2人はお迎えのいるような子供ではありませんよ。今日は2人にバレンタインデーのチョコを持ってきたんですよ?」
「え?」
「茉珱さんの分を作ってたら作りすぎちゃったんで……おすそ分けです。」
そう言って可愛くラッピングされた袋を差し出してくれた。
「わぁ~ありがとう!!緋ぃ姉の料理はおいしいから好きだよ!」
「………。」
何故だろう……茉珱兄からすっごく憐れむような視線を感じるんだけど……
「茉珱兄?何か??」
「いや……多分……大丈夫だ。死なない……と思う。」
一体何の話をしているんだろう……?
「あーそうだ!せっかくだし、准くんも一緒に食べようか?」
「ぇ゛……いや。俺はいらな」
「私たちだけじゃ悪いもんね。緋ぃ姉、ここで開けてもいい?」
「えぇ。構いませんよ。私も感想を聞きたいですしね?」
「んじゃ。遠慮なく~」
そう言って丁寧にラッピングを外す。
中からは一口サイズのチョコが数個入っていた。
かわいい!!
「じゃあまず准くんからどうぞ!」
そう言ってチョコを差し出す。なぜだかさっきより准くんの顔が青いような気がする……
「今回は確率は半分ですよ。頑張ってください。」
緋ぃ姉がぽそっとそんなことを言う。
さっきも思ったけど……何の話をしてるんだろうか?
「夢……」
「ん?」
一瞬なにが起きているのかわからなかった………
龍牙起きたんだ……
ヒゲが書かれてないってことは寸前で起きれたんだ…よかったねー……
え?
何でこんな近くに龍牙の顔が?
は?
「~~~~~~~っ!!!??」
咄嗟にどんっと龍牙の胸を押し返す…
こいつ……今……ききききき…キスした!?し・しかも…こんな人前で!?
「まぁ~~あらあら。」
「……」
呑気な声夫婦の声(まぁ声を発したのは1人だけど)が耳に入る……これは…確かめなくてもバッチリ見られてた…よね。
カーっと体中の血液が顔に集まっていくような感覚に陥る…
「夢……真っ赤だな。かわいい。」
「は…?」
いつのまに復活したのかぼそりと耳元でささやかれた。
、と同時に、ぞくっと背中に電気のようなものが走る……
「な・何言ってんのよ!!!」
いつもの様に脇腹にストレート……決めた…………はずだったのに、その腕はいとも簡単に龍牙の手によって受け止められた。
「な!?」
「照れ隠しも度が過ぎると可愛くないぜ?……まぁそんな顔真っ赤にされちゃ何されても可愛いけどさ。」
だ・誰だ!?こいつ!?!?
いや……基本は龍牙なんだけど……なんか……いつもの龍牙より強気っていうか……有無を言わせない感がある。
「プレゼントとか可愛いことしてくれるしさ、しかもアルコール入りとか……なに?誘ってんの??今すぐ部屋に行く?」
「な…な・なぁ…!?」
断じて誘ってません!!!
「へー流風さんてお酒入るとああなるんだ。」
「へたれじゃなくなるんだね。」
「疾風さんの言ってたのはこれかー。まぁこれなら酔っても情けなくはないわな。」
「夢さんったらあんなに真っ赤になって……」
「あれくらいでか?」
「茉珱さんの基準で言わないであげてください。可愛らしい反応じゃないですか!」
がやがやと回りの声が聞こえる……
は・恥ずかしい!!恥ずかしすぎる!!!!!
「ん?」
「ぇ?」
龍牙は私の手に持っていたチョコに目をやった。
「なに?まだあったの??」
「ぁ…こ・これは……ちが…っ」
恥ずかしいやら緊張やらでうまく口が回らない。
「俺ばっか食べるのも悪いし……食べさせてやるよ。」
「は?」
言うが早いか龍牙は私の手元からチョコを一つとって自分の口の中に入れる……
ま、まさか……っ
私が想像した最も悪い予想通りに龍牙はまた私に口づけをして…あろうことか今食べたチョコを押し込んできた。
「んぅ…~~っ!!」
私の口の中で龍牙の舌とチョコが動きまわる…
チョコが甘いんだか、この行為が甘いんだか……訳がわからなくなる
「っん……は…ぁっ……や・やだ……りゅぅ…が……っ」
「……ん、…何が?」
こっちは限界ギリギリなのに…龍牙は余裕たっぷりで私に聞き返してくる…悔しい…
「も…やだ……み…んな、み…てるよ……」
「見せつけてやればいいだろ?」
「やだぁ……は…ずかしぃ……よ……」
「……そんなソソる顔されたら余計止められねーて。」
「っ……そんな顔…してな…」
「まだだぜ?このチョコが全部無くなるまで……な?」
そう言って龍牙はまた1つチョコを手に取り自分の口に入れてから同じように口を寄せる……
も…もう……意識が朦朧としてきた……
足もガクガクしてるし…やばい…立ってられなくなるかも……
また同じように甘い味が……
甘い味が………
甘い………
ん?
なんか……
辛い……というか…苦いというか……なんとも表現しにくい味が…するんだけど……
ってかまずい!!!
「んぐっ!?!?」
あまりの味にビクんと体が一瞬痙攣する。
「んーんーんー……・ん゛~~!!!!!」
恥かしいとか言っている次元ではなかったので口に入っているチョコを龍牙の口へ押し戻して、今度こそ思いっきり龍牙を突き飛ばして距離をとる
「っげっほ…げほげほげほ!!」
……か・海の手料理と同類…か、それ以上な味だ…
私が味覚異常になったわけではないらしく龍牙も同じように口を押さえて吐き出すのを必死に我慢しているようだ。
「あらあら。はずれだったんですねー。」
そう言って緋ぃ姉は私の背中をさすってくれた…
はずれってなんだろう…
「ついに夢さんも体験しちゃったんだね。」
「今まで無意識に全部かわしてたもんねー。」
「…俺、食べないでよかった…」
「…まだ余ってるぞ?」
「…遠慮します。」
「…というか、中々珍しいものが見れたねー?」
桜くんのセリフにドクンと心臓が跳ねる。
忘れかけていた熱がまた顔に集まってくる……
「そうだね。へたってない流風さんってなんか新鮮だった。」
「まぁ見せつけられたわけだし…いい気分ではないけど…」
「夢さんのかわいい顔も見れたしね?」
ね?と桜くんはこっちに言葉を投げかける……
「ぅ……あ……っ」
「夢さん?」
「~~~……っ」
「??」
「~~~~っ忘れてください!!!!」
そう言い残して私はその場から逃げだした…
もう当分みんなと顔合わせられない!!!!
~おまけ~
「そういや流風さんは?」
「あー…酒やらチョコやら、いろいろ重なって今度こそダウンしてる。」
「おもしろくなーい。」
「とりあえず鬚書いとこう。」
「だね。」
×××
は…恥ずかしかった。
何がって絵が!!もうせっかくだし載せたけど…これは羞恥プレイだね…
とりあえず龍牙はお酒を飲むとヘタレじゃなくなります。ちょっとキザになる。ホストみたいな感じ。
ちなみに記憶残るタイプです。この後酔いが冷めたらあやまりに行くんじゃないかな。でも何でそこまで怒ってるのかよくわからない感じで!そのせいで余計に怒られてるんだと思うよ。
世間はチョコチョコチョコ一色なバレンタイン……
これは……私も龍牙にチョコを渡すべきなんだろうか……
「だーれだっ!」
そんな考えを悶々と繰り返していた時、いきなり視界が真っ暗になる。
「……ぇ…ちょ……なっ!?」
思わずびっくりして思いっきり後ろにいるであろう人物に肘を出す。
世間一般でいうと肘鉄だ。
完璧に入ったと思ったんだけど……難なくポスっと受け止められてしまった…
「のんのん、夢さん。ちゃんと質問に答えてよー。」
私の目を手で覆ったまま後ろの人物は呑気な声を出す。
「本当にわからない?夢さん??」
今度は前から声がする……どうやら2人いるらしい……
……というか……
「……桜くんと…菫くん?」
「はい。大正解~!」
そう言って手をパッと放すと目の前には笑顔な双子くんが立っていた。
「あ…こんにちは。ご・ごめんね…桜くんたちだと思わなかったから……つい。」
「いえいえ。まぁ当たりませんでしたし。さすがに当たったらちょっと痛そうだったから受け止めさせてもらいました。」
「……すいません。」
「別に桜ならくらっても平気だろ……」
「もしかしたらびっくりして目隠しはずれちゃうかもしれないでしょ!」
「あ…そぅ。」
「あの…今日はどうしたの?」
2人が私を訪ねてくるなんて珍しい…
いや、別に珍しくないんだけど…私単品のときに来るのが珍しいというか…
どうやら2人は龍牙のことが気に入ってるらしく龍牙と2人でいる時はよく姿を見せて龍牙をカラかって帰っていく。といったパターンが多い。
「今日は夢さんに聞きたいことがあったんですよー。」
「??聞きたいこと?」
「そう。この前みんなで新年会という名の飲み会したの覚えてますか?」
「……あぁ。」
そういえばしたね、そんなこと。
といっても私はジュースを飲んでからの記憶がほとんど…ってか全くないんですが……
後で聞いたんだけど、あれはお酒だったらしい……
どうも私は父譲りでお酒に弱いらしく、飲んだ後の記憶が全くないのよね……
「で、ですね。夢さんが酔った姿は見れたんですけど」
「え!?やっぱり私酔ってたの!?」
「そりゃ…もう。」
「桜もだろ」
「まーそうですけども。」
「で、考えてみたら流風さんが酔ってるの見たことないなーって思ったんですよ。」
「そうそう。だから酔ったらどうなるのか教えてくれません?」
「え………」
そ・そういえば……私も龍牙が酔ったとこみたことないかも……
「あいつは酒強ぇーぞー」
「っ!?」
いきなりの声に驚く。
「じゅ……准くん…?」
「よっ!」
いつ来たのか私の横にいる准くんが普通に会話に参加してきた。
「「こんにちはー。」」
2人はいつから気付いてたのか普通に挨拶をする……
心臓に悪い……
「流風さんってそんなお酒強いんですか?」
「あぁ。俺らも何回か飲みあったことあるけど…あいつだけは潰れたことないんだよなぁ。」
「へぇ~。」
「何でも兄貴に鍛えられたとかで全然酔わないんだよなぁ。結構な量飲んでんのにさぁ。」
「……というか、普通にこんな話してるけど、未成年はお酒のんじゃダメなんだからね!!」
「俺達の世界じゃもう成人してるんで。」
「ぇ…そ・そうなんだ……じゃ・じゃあいい……のかな?」
「俺も精神的には成人してるんで。」
「准くんはダメでしょ!!」
「まぁ……それはこっちに置いといて。なんでお前ら、んなこと聞くんだ?」
「んー?別に理由はないですよ。ただの興味心。ねー?」
「なー?」
そう言って双子くんたちは顔を見合わせる。
本当に仲いいなーこの2人。2人を見てるとよく弟に会いたくなってくるんだよね……
「こんなこともあろうかと!!じゃーん!!」
そう言って桜くんは液体の入った瓶を取り出した。
「なにソレ?」
「スピリタス、etcです。」
菫くんがぴしゃりと私の質問に答えてくれた。
しかし…もともとお酒に興味なんてない私がそんなことを言われてもわかる筈がない。それにエトセトラって……
「お前ら……スピリタスって…んな強い酒…」
准くんは分かっているらしく呆れたような顔をしている。
「スピリタスってそんなに強いお酒なの?」
「まー……世界一って言われてるからなぁ…なんせ度数96%だぜ?ほとんどアルコールだよ。」
「きゅ…きゅうじゅうろく……」
ビールでも数%なのに……
「そうそう。俺達も飲んだことないんですけどね。父さんと母さんが晩酌してるときに飲んでたから。」
「しかも他の強い酒とちゃんぽんになってたから……相当きついと思いますよ?」
なるほど……だからetc.なんだ……って納得してる場合じゃなくて。
「それ……飲ますの?」
さすがにかわいそうな気がするんだけど……
「まぁ…俺達も鬼じゃないんで……幸せな思いをしながら酔ってもらおうかなと思いまして。」
「??」
「もうすぐバレンタインですよね?夢さん!これ使ってチョコつくってくれません?」
「え゛……!?」
「それなら流風さんも夢さんからチョコ貰えて心残すことはないでしょう?」
「あ……いや……」
それ…私に被害が来るんじゃないだろうか……
「ねー夢さんおねがい!」
「ぅ……で・でもさ!チョコに入れるくらいの微量なら酔わないんじゃない?」
「あーその辺は大丈夫。母さんたちに少しの量でも酔えるちゃんぽん造ってもらいましたから。」
「え……そんなこと…でき」
「夢さん。深く考えちゃダメですよ。ある意味ここはパラレルワールドなんですから。そういうとこ突っ込んじゃダメです。」
「……そうだね。」
「じゃ、お願いしますねー!」
ポンと瓶を渡して双子は帰っていった。
「え…私まだ…作るとは……」
私の声が届くことはなかった………
ど・どうしよう………
×××
はい。バレンタイン話の前振りです(長い前振りとか突っ込んじゃ嫌です)
スピリタスは本当に強いお酒だそうですよ!当然飲んだことないけど!!
そしてチョコに入れる量で酔うとは思えないんですが……まぁそこは(も)見逃してください。
次回!酔った龍牙が夢を!?乞うご期待です!!
新年会だー!!!
とか言っていつものように双子が来た。
そこまではいい・・・もう俺の大分諦めたとこがある・・・
でも・・・
でも・・・・・・・
何でまた酒を持ってくるんだよ!!!!!
当然の如く俺以外の三人は見事につぶれてしまったわけで・・・・・・
どうして弱いやつほど飲みたがるんだろう・・・
そして俺は前回と同じように3人に抱きつかれてるんだが・・・・・・
前には夢・・・後ろには桜・・・横には菫・・・・・・
どうすればいいんだ・・・
俺は何とか知恵を絞ったが俺の考えが浮かぶ前に体が絞られちまう・・・
出来れば使いたくなかった・・・使いたくなかったけど・・・この状況をどうにか出来る人って言ったらあの人たちしか思い浮かばない・・・
俺は3人の重さをずるずると引きずって受話器に手を伸ばした。
ピンポーン・・・
「邪魔する。」
「お邪魔しまーす。」
そう言って俺に張り付いてる双子の両親はドアから顔を出した。
「こ・こんばんは。すいません・・・いきなり呼び出したりして。」
「いえいえー。あっそうだ・・・あけましておめでとうございます。」
「あ・・・おめでとうございます。」
「あらら、これは完全に出来上がってますねー。菫まで一緒になって・・・」
少し申し訳なさそうな顔をして緋粋さんは言う。
とりあえず・・・そんな呑気に見てないでこの二人を剥がしてほしいんだけど・・・
「・・・・・・よく見ておけ。お前も酔ったらこうなるんだぞ?」
「ぇえ!?・・・・・・ここまでですか?」
「・・・」頷き。
「・・・これからはお酒を控えることにします。」
「そうしてくれ。」
・・・悠長に会話してないで剥がしてくれってばー!!
「あの・・・俺動けないんでお宅のお子さん達どうにかしてほしいんですけど・・・」
堪らなくなって言葉を発する。
「あぁ、すいません。」
「・・・・・・」
「茉珱さん。殴って気絶させて持って帰ろうなんて考えないでくださいね。」
「・・・・・・。」
考えていたのか・・・
「さくらちゃーん。帰りますよー?離れてください。」
桜の頬をぺしぺしと叩いて緋粋さんはそう呼びかける。
「んー・・・?あーーかぁさんだぁ~!!」
そう言って桜は俺から手を離して緋粋さんに抱きつく。
ふぅ・・・これでやっと1人からは解放された・・・
桜は嬉しそうにベタベタと緋粋さんにくっついていた。
なんか・・・分かってたけどマザコンだよなぁー・・・アイツって・・・
「かぁーさーん!!」
「は・はいはい。わかりましたから帰りましょうね。菫ちゃんも!」
「はーい。」
そう言って菫はさっさと俺から手を放した・・・
さっきまで何を言っても離れなかったくせに・・・こいつ実はそんなに酔ってなかったな・・・
「困ってる流風さんが面白くて・・・つい。」
いけしゃあしゃあと菫は俺に向かって微笑みそう言った。・・・こいつ何で俺の考えてることわかったんだ・・・?
「いや・・・流風さんてわかりやすいから。」
ま・またっ!?
そんなこんなで、すっかり帰宅モードに入ってる浅葱家の人たちに意識を向けていた時、耳元に手を添えられてビクっと反応した。
「っ・・・ゆ・ゆめ?」
夢は俺の首に回していた手をほどいて俺の耳をさわさわと触っている・・・
ちょ・・・今茉珱さんたちがいるからっ!!あの人らが帰ってからそういうことをしてくれ!!
この場に茉珱さんや桜たちがいるからかろうじて持っていた理性が切れそうになる・・・
「あの・・・夢・・・さん?」
「りゅー・・・が・・・」
ぼーっと焦点の定まっていない目が俺に向けられる・・・
うっ・・・何かエロい・・・ってかやばい・・・
「・・・・・・夢っ」
もうこのまま押し倒そうか・・・幸い一番邪魔しそうな桜は潰れてるし・・・茉珱さんたちは大人だから・・・そういうことしても見て見ぬ振りして帰ってくれるよな・・・!!
そっと夢の頬に手を添え・・・
「このばかもーん!!」
ようと思った瞬間、夢からアッパーが繰り出された・・・・・・
「~~~っ・・・!!」
悶絶・・・
ちくしょう・・・普通に油断してた・・・ってか何でこのタイミングでアッパー!?
「ってぇ・・・・な・なにするっ」
講義の声を上げようとすると夢がまたペタっと耳に触って話しだした。
「なんでー、ここに穴が空いてるの!!親に貰った体を傷つけるとは何事だぁー!もっと自分を大切にしなさい!!」
・・・・・・。
そうやら俺がピアスを開けていたのが気に入らなかったらしい・・・紛らわしいマネしやがって・・・・・・(涙)
「もーこんな不良に育てた覚えはないですよ!」
育てられた記憶もねーよ!!
「・・・・・・」
ふと視線を感じて振り向くと茉珱さんが憐れなものを見る目で俺のことを見ていた。
・・・・・・何かもう・・・泣きたい。
「あーー!!」
そんな俺の気持ちをお構いなしに夢は大きな声を上げてあろうことか茉珱さんに近づいていった。
「茉珱兄ぃも耳に穴空いてる!!それもたくさんー!」
そして茉珱さんの耳に俺と同じようにぺたっと手を当てる・・・・・・
何か緋粋さん・・・ちょっと泣きそうなんですけど・・・怖いんだけど・・・
「あのねー茉珱兄ぃ・・・人間って元々穴だらけじゃん?そこに穴を開ける意味がわからんよ!(by銀魂)」
「・・・・・・夢。」
「んー?」
「酔い過ぎだ。」
そう言って茉珱さんは夢にぺーいとデコピンをした。
「っ・・・」
声にならない声を上げて夢はヨロヨロとよろけ悶絶している。
「ゆ・ゆめっ!」
「躾はちゃんとしておけ。」
茉珱さんはしれっとそう言う。
いやいやいやいや・・・お宅のとこも相当だと思うんですけどね!!
棚上げって言葉を強く意識した瞬間だった。
「いっつー、もう痛いよ!茉珱兄ぃ!!全くー。」
「夢!?・・・・・・だ・大丈夫・・・なのか?」
「んー?だいじょぶだいじょぶ。咄嗟に後ろに下がったしー。」
よく瞬時にそんな判断を・・・・・酔ってると野性的になるか・・・?
「それよりー・・・なんで茉珱兄ぃは穴を開けてるんですかー?理由あるの??」
あぁ・・・もういいじゃねーか!!もうその話題は終わりでいいじゃねーか!!
酔っ払った夢は空気まで読めなくなっているらしい
「それを聞くまで今日は帰しませーん!!」
そう言って服の裾をぎゅーっと引っ張る。
い・今さり気に男が言われたいランキング上位の言葉を言ったよな!?
何で茉珱さんなんだー!!
「・・・・・・っ」
そしてやっぱり緋粋さんが涙ぐんでるように感じるんですが・・・・・・
ごめんなさいっ!!俺全然悪くないけどすいません!!
でも夢のそういう感情全くないと思うんで!!頼むから泣かないでください!!
「夢・・・・・・これはな・・・本当の姿を隠すための制御装置なんだ・・・」
「え?」
「は?」
思わず俺まで変な声が出る。
「このピアスはこの姿を保つためにつけてるんだ・・・これを外したら俺は真の姿に戻って・・・・・ここにいられなくなる・・・だからこのピアス必要なことなんだ・・・わかるな?」
・・・・・・正直全くわかりません・・・
この人は・・・
無表情で平気にウソをつくからたちが悪い・・・
まぁ多分ちゃんとした理由があるんだろうけど・・・話したくないのか、説明するのがめんどくさいのか・・・・・・まぁ後者の確立が高いが・・・
ってかこんなウソ引っかかるやつなんか・・・
「そっかー・・・そうなんだ。茉珱兄ぃがいなくなるのはさみしいもんねぇ・・・。それじゃあしょうがないね。」
ここにいたよ。
酒の力って恐ろしい。
×××
これは結構前に書いてたんですけどねー・・・上げるのを忘れてました。
ついでだからお正月verにしてしまいました(あは)まぁ最初を付け足しただけなんですが・・・